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STORY

儀式を執り行う日を古い言葉で、式日(しきじつ)という。この物語は、人なら誰しもが持っている自分だけの「式日」、つまり誕生日を迎えられない少女を巡って展開する。

パパもママも病んでいる。
みんな病んでいる。
そして私は一番病んでいる。

明日を拒絶し、"儀式"と称した不可解な行動を続ける彼女。

映画監督として成功をおさめたものの、創作のモチベーションを失ってしまった男「カントク」は、自分の故郷の街で線路の上に横たわる不思議な「彼女」に出会う。

廃虚ビルに自分だけの居場所を築き、線路で、屋上で、地下室でと、奇妙な「儀式」を執り行う彼女。

「明日は、私の誕生日なの」と、今日も明日も同じ言葉を繰り返すが、一向に誕生日は訪れない。そんな彼女に興味を覚えたカントクは、ビデオカメラを手にとり、彼女を被写体として見守ろうとする。

彼女にとっての真実は、自分を傷つけるだけの敵かもしれない。誕生日とは、自らの存在を世の中から祝福される日。その日を迎えることを拒絶している彼女の過去には、いったい何があったのか?

ささやかな触合いを通じて、男には少しづつ彼女の心に潜む闇が見えてくる。肉親の死の悲しみ、置いてきぼりにした母への愛憎、いつも比較された姉への復讐・・・・。

辛い現実から逃げ出したいがために、今日を繰り返すという狂気に彼女はとらわれていたのだ。彼女の持つ淋しさや不安を、少しでも和らげたいと願った。

被写体から、いつの間にか彼にとってかけがえのない存在となっていた彼女のために、男は、彼女と母とを対面させようとする。それはまた、虚構の世界の構築から逃れようと苦悩する男の再生行為であるのかもしれない。

彼女は誕生日を迎えられるのか? その時そこに、男は居るのか?

[作品解説]

藤谷文子の繊細な原作と、岩井俊二の自然な演技を庵野秀明の美しき映像が紡ぐ。

『式日』は、このうえない淋しさを抱えた男女の出会いから"その日"までの1ヶ月間の物語を、詩的かつ斬新な映像で綴った異色の作品です。

脚本・監督は、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』で、多くの若者から熱狂的な支持を受けた庵野秀明。

この映画『式日』は、画期的な映像表現で話題となった前作『ラブ&ポップ』に続いて庵野が挑む実写映画第二弾です。

舞台は高度経済成長期を担った典型的な地方工業都市。撮影は庵野監督の故郷である山口県宇部市にて行われました。

これまでの庵野監督作品で好んで描かれた風景の原点がそこにあったことを発見できるでしょう。

『カントク』役は、今回が映画初出演となる『Love Letter』『スワロウテイル』の映画監督・岩井俊二。不思議な雰囲気を持つ『彼女』役を、本作の原作を手掛けた藤谷文子が演じます。物語の鍵を握る『彼女の母親』役を大竹しのぶが、『彼女』を知る唯一の第三者として出現する『自転車の男』役を『ナビィの恋』の村上淳が好演。さらにモノローグを人気声優の林原めぐみと、今もっとも注目される劇作家の松尾スズキが担当するなど、異色のキャスティングも見所となっています。

現代人が抱える孤独感というテーマに挑んだ本作では、大胆なセンスをメイクアップやコスチュームに採用。赤を基調とした幻想的な背景美術と相まって、狂気にとらわれつつある『彼女』の心情を見事に表現しています。また、NHKスペシャル『映像の世紀』や映画『月の虹』などで知られる加古隆の音楽と、Coccoのエンディング・テーマによって、主人公の孤独と救済が鮮やかなコントラストで描かれます。


スタジオカジノ第一回作品
制作・配給: 徳間書店
ロケ地: 山口県宇部市
35mmcolor 128min(2時間8分)
部分的に24PのHDやDV-CAMを使用
シネマスコープ DOLBY 映倫

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© 2000 F&A・STUDIO KAJINO.
Rapha
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